明日から使える!?現役弁護士が教えるミスの少ない文章作成テクニック
プロコミットパートナーズ法律事務所代表弁護士の長尾です。
このブログでは、スタートアップ・ベンチャー企業の皆様に役立つような情報をメインに書いていきたいと思います。
できれば月に2本くらいを書ければと・・・仕事に追われて三日坊主になる未来が用意に想像できるので、1本あたりの記事にそれほど気合を入れず、気軽に読めてちょっと役に立つようなブログを目指していきたいと思います。
第一回目は、「弁護士として仕事のクオリティを高めるために、自分でやっているテクニック」のようなものをお伝えしたいと思います。
ミスのない書類作成は難しい?
企業法務の弁護士の業務の大半は文章作成に費やされているといっても過言ではありません。
契約書関係の業務を筆頭に、クライアントからの質問への回答、裁判関係の書類作成、議事録等のコーポレート関係の書類作成、意見書の作成等、一日のうちでかなりの時間文書を作成しています。
この書類作成ですが、ミスなく書類を作成するのは弁護士でも至難の業と言えます。
弁護士が作る書類なんてミスがないのが当たり前だと思うかもしれませんが、ミスのない書類をコンスタントに作成できるようになるにはかなりの経験が必要となります。
ミスのない書類作成を行うためには、最終的には経験がものをいう面もありますが、いくつかテクニックを使うことで確実にミスを減らすことは可能です。以下、いくつかお伝えさせていただきます。
できる限りコピー&ペーストするようにする
なぜコピー&ペーストを推奨するかというと、手打ちでタイピングすると、
(1)文字を打ち込み間違えるリスク
(2)変換の際に間違えるリスク
の2重のリスクがあるためです。(1)については特に住所のようなものの場合、一文字抜けてもかなり気がつきにくいといえます。
また、(2)については、日本人で「渡辺」「渡邉」「渡部」「渡邊」を間違えたことがない人を探す方が難しいのではないかと思います
(あと、「郎」と「朗」とかも人をひっかけるための悪意のようなものを感じますよね。)。
そのため、特に固有名詞や法律の条文については、可能な限りコピー&ペーストをするように心がけています。
信頼できる情報ソースを確認し、まとめておく
上記のとおりコピー&ペーストを推奨するのですが、そもそもコピー&ペースト元が間違っていたらどうしようもありません。
そのため、特に議事録作成等のコーポレート関係の仕事を行う場合には、まず、信頼できる情報ソースを元にクライアントごとに固有名詞をまとめたファイルを作っておきます。
議事録等でよく使用する情報としては、会社の社名・住所、代表取締役の氏名・住所、取締役の氏名等があげられるので、これらをワードやエクセルでまとめておきます。
ここで大事なのは、登記簿謄本等の信用できる情報ソースを元にまとめることです。
例えば株主名簿にも同様の情報が記載されているかもしれませんが、株主名簿は人が手打ちで作っている可能性があるため、その情報には誤りがあるかもしれません(厳密にいうと登記簿謄本にも間違いがある可能性も否定はできませんが、可能性はかなり低いといえます。)。
従って、登記簿謄本等のような公的なものを元にまとめることが重要です。
なお、登記簿謄本の場合にはコピペはできないので、それを転記した後は、一文字ずつ印をつけながらチェックするなどしておきましょう。
ものすごく面倒なようにも思えますが、特に議事録等で固有名詞に間違いがあったりすると、場合によっては登記が通らないなどの問題も生じてしまいますので、それを考えるとこのくらいの手間をかける価値はあると思います。
契約書関係の業務にはワードの機能をフル活用
ミスのない契約書作成や契約書レビューを行うためには、ワードの機能をフル活用することが必須といえます。
おそらくスペルチェックや表記ゆれの機能は皆さん使用していると思いますが、それ以外にも以下のような使い方でミスを減らすことができます。
検索機能
検索機能は契約書関係の業務の場合には必須だと思っています。
契約書上では、「第8条第2項第3号に定めるとおり」といった表現がありますが、これはミスが生じやすいところです。
つまり、元々はこの規定が正しくとも、契約交渉の過程で第7条が削除されてしまったような場合、条文が一つずつ繰り上がることから、当該箇所は「第7条第2項第3号に定めるとおり」と直さなければなりません。
従って、契約書を修正したような場合には、最後に「条」「項」「号」というワードで全体を検索し、修正漏れが生じてないかを確認しましょう。
比較機能
契約交渉が長引いたような場合、「比較」の機能は必須だと思っています。
投資案件やM&A案件のような場合、契約書類にそれなりのボリュームが出ることとなるため、必然的に交渉回数も増えます。
この場合、変更履歴が入り乱れることとなり、前回からどこの点に変更が入ったのか非常に見落としやすくなってしまいます。そこで、このような場合には、前回の契約書のバージョンと今回の契約書をワードの機能で「比較」しましょう。
そうすることによって、前回から修正が入った部分のみに変更履歴が付されたファイルが作成されるので、修正されていたことに気が付かなかったといった事態を防ぐことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。初回にもかかわらず、スーパー地味な内容となってしまいましたが、弁護士としてミスをしない仕事をするためには、細かい工夫の積み重ねが必要なんだということが少しでも伝わればと思います。
この他にも色々とあるのですが、パッと思い出せないのと、初回で飛ばしすぎると後がなくなるので、今回はこれくらいにしておきたいと思います!
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