スタートアップのための定時株主総会ガイド(事業報告・附属明細書のひな型付き)
定時株主総会とは、毎事業年度の終了後一定の時期に開催が必要となる株主総会です(会社法296条1項)。計算書類の承認と事業報告の報告がメインの議題で、役員の任期が切れる年は役員選任もここで行います。
監修:長尾卓弁護士(プロコミットパートナーズ法律事務所)
今回は、スタートアップの定時株主総会について書いていこうと思います。決算期が終わった後、「定時総会って何をすればいいんでしたっけ」「事業報告って何を書けばいいんですか」というご相談を、私たちは毎年たくさんいただきます。特に事業報告と事業報告の附属明細書は、上場企業向けの情報ばかりで、スタートアップがそのまま使えるひな型がほとんど公開されていない領域です。
そこでこの記事では、非上場のスタートアップを前提に、定時総会のスケジュールから必要書類、事業報告・附属明細書に「最低限何を書けばよいか」までを整理しました。記事の後半では、事業報告と事業報告の附属明細書のひな型(Word)を無償公開しています。
なお、本記事はシードからシリーズAくらいまでの非公開会社(監査役会や会計監査人を置いていない会社)を想定しています。監査役会設置会社となっているような会社では、手続や書類が本記事の内容より複雑になるため、本記事の対象外です(当事務所では監査役会設置会社のクライアントも数多くサポートしていますので、該当する会社は個別にご相談ください)。
定時株主総会とは〜何をする場なのか
要点: 定時総会ですることは、①計算書類の承認(必須)、②事業報告の内容の報告(必須)、③役員の任期が切れる年はその選任、の3つが基本です。
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないとされている株主総会です(会社法296条1項)。「決算の総会」と言えばイメージしやすいと思います。
やることの基本セットは次のとおりです。
| 議題 | 位置づけ | 根拠 |
|---|---|---|
| 計算書類の承認 | 決議事項(承認が必要) | 会社法438条2項 |
| 事業報告の内容の報告 | 報告事項(承認は不要) | 会社法438条3項 |
| 役員の選任(任期満了の年のみ) | 決議事項 | 会社法329条 |
| 役員報酬の決定・改定(必要な場合) | 決議事項 | 会社法361条 |
ここで意外と間違えやすいのが、計算書類は「承認」、事業報告は「報告」という区別です。招集通知や議事録で「事業報告の承認の件」と書いてしまっている例を時々見かけますが、事業報告は承認決議の対象ではありません。細かい点ですが、書類の正確性に関わるところなので押さえておきたいポイントです。なお、これはあくまで株主総会での取扱いの話で、その前段階の取締役会では、計算書類だけでなく事業報告やこれらの附属明細書も承認事項です(会社法436条3項)。取締役会非設置会社でも、実務上は取締役の過半数による決定(取締役決定書)で計算書類・事業報告を承認したうえで総会に進むのが通例です。
表の4つ目の役員報酬についても触れておきます。取締役の報酬等は、定款に定めがない限り株主総会の決議で定める必要があります(会社法361条1項)。税務上、役員給与を損金算入するには原則として「定期同額給与」(法人税法34条1項1号)である必要があります。そして、役員報酬を改定する場合には、原則として事業年度開始の日から3か月以内に行わなければ、「定期同額給与」に該当しないとされています(法人税法施行令69条1項1号イ)。定時総会は決算後3か月以内に開催されるのが通常なので、役員報酬の改定は定時総会にあわせて行うのが実務の定番です。なお、当事務所は税務の専門家ではないので、定期同額給与をはじめとする役員給与の税務上の取扱いは、最終的には顧問税理士にご確認ください。
また、定時総会が終わると法人税の申告です。法人税の確定申告は「確定した決算」、つまり定時総会で承認を受けた計算書類に基づいて行うこととされており(法人税法74条1項)、申告期限は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です(同項)。決算→定時総会での承認→税務申告、という順序になっているため、総会が終わらないと申告ができない建て付けです。総会が2か月より後になる場合には、申告期限の延長の特例(法人税法75条の2)の申請を検討することになります。
ちなみに、「定時総会は決算後3か月以内に開催」とよく言われますが、実は会社法にそのような直接の規定はありません。議決権の基準日を定めた場合に、基準日株主が行使できる権利は基準日から3か月以内のものに限られる(会社法124条2項)ため、定款で「事業年度末日の株主が定時総会で議決権を行使できる」と定めている通常の設計だと、結果的に3か月以内の開催が必要になる、という仕組みです。
全体スケジュール〜決算日から逆算する
要点: 3月決算なら、4〜5月に計算書類・事業報告を作成、(監査役がいれば)監査を経て、6月下旬までに総会、というのが標準的な流れです。
3月決算・6月総会の会社を例にすると、次のようなスケジュールになります。
| 時期 | やること | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| 3月31日 | 決算日(=通常は議決権の基準日) | 定款に基準日の定めがあれば公告は不要(会社法124条3項ただし書) |
| 4月〜5月 | 計算書類・事業報告・これらの附属明細書を作成 | 会社法435条2項 |
| 作成後 | (監査役設置会社)監査役の監査 | 監査報告の通知期限は書類受領から原則4週間(会社計算規則124条1項1号、会社法施行規則132条1項1号)。監査役がこれより早く通知すればその時点で監査完了(各2項) |
| 監査後 | (取締役会設置会社)取締役会で計算書類等の承認+総会招集の決定 | 会社法436条3項・298条4項 |
| 総会の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)の日 | 計算書類等の本店備置き開始 | 会社法442条1項 |
| 総会の1週間前まで | 招集通知の発送 | 会社法299条1項(非公開会社の場合) |
| 6月下旬 | 定時株主総会 | 基準日から3か月以内(会社法124条2項) |
| 総会後遅滞なく | 決算公告(貸借対照表の公告) | 会社法440条1項 |
| 総会後2週間以内 | (役員の重任等があれば)変更登記 | 会社法915条1項 |
実務でつまずきやすいポイントを2つ挙げておきます。
① 招集通知の「1週間前」の数え方
定款で「総会の日の1週間前までに発する」となっている場合、発送日と総会日を除いて、中7日を空ける必要があるとされているため、「1週間前だから7日前に出せばよい」と考えると日数が足りなくなります。実務ではこの数え間違いが結構あります。また、総会日から逆算して中7日を空けた発送期限が土日祝日にあたる場合には、その前の平日までに発送しておいた方が安全です。取締役会非設置会社であれば、定款でこの期間が短縮されているケースもあります(会社法299条1項)。
② 間に合わないときの救済手段
発送が間に合わない場合、株主全員の同意があれば、招集手続を省略することができます(会社法300条)。ただ、ここで注意したいのは、招集手続の省略への同意(会社法300条)と、議決権代理行使の委任状(会社法310条1項)は別物ということです。省略の同意書をもらったからといって総会に出席しない株主の議決権代理行使ができるわけではないので、欠席株主からは議決権代理行使の委任状を別途取得する必要があります。
総会を開かずに書面で完結させる方法(書面決議)
要点: 株主全員の書面同意があれば、実際に総会を開催せずに決議があったものとみなせます(会社法319条)。計算書類等の事前の備置き期間の縛りがなくなるためスケジュールを大幅に短縮でき、株主数が少ないシード期のスタートアップでは、この書面決議で定時総会を完結させる例が多いです。
株主が創業者と数名の投資家だけ、という会社であれば、全員から同意書を回収して書面決議(みなし決議)で済ませるのが実務では主流です。報告事項(事業報告)も、株主全員に通知したうえで全員の同意があれば報告があったものとみなせます(会社法320条)。定時総会の目的事項のすべてが書面決議で可決されれば、そのときに定時総会が終結したものとみなされます(会社法319条5項)。
書面決議の一番のメリットは、実開催であれば必要になる「総会の日の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)の日から」という計算書類等の備置き期間の縛りがなくなることです。書面決議の場合、備置きの起算日は「提案があった日」になるため(会社法442条1項1号)、決算と書類が固まり次第、提案と同意の収集をすれば、最短でその日のうちに定時総会を完結させることができます。
ただし、落とし穴が2つあります。
- 書面決議をするには株主全員からの同意が必要であるため(会社法319条1項)、1名でも同意書の提出漏れがあると決議は不成立です。株主数が多くなってきた会社では、全員回収の負担とリスクを考えると、実開催の建て付けにして欠席株主から委任状をもらう方式のほうが安全なことも多いです。
- 書面決議でも、同意書面は決議があったとみなされた日から10年間の本店備置きが必要です(会社法319条2項)。計算書類等の備置き(会社法442条1項)も、起算日が「提案があった日」になるだけで必要なことに変わりはありません。
このため、備置き期間が確保できないなどスケジュール上やむを得ない場合を除いては、書面決議ではなく通常どおり総会を開催する建て付けにして、出席できない株主からは委任状を提出してもらう、という対応にした方が無難です。
必要書類の一覧〜どれを作り、どれを配り、どれを備え置くか
要点: 作成義務があるのは計算書類(4点セット)・事業報告・これらの附属明細書です。このうち総会に提出するのは計算書類と事業報告で、附属明細書は本店備置きで開示します。備置きは総会の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)の日から始める必要があります。
| 書類 | 作成義務 | 総会への提出 | 招集通知への添付 | 本店備置き |
|---|---|---|---|---|
| 計算書類(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表) | あり(435条2項) | あり(438条1項) | 取締役会設置会社のみ(437条) | 総会の1週間前の日※から5年間(442条1項) |
| 事業報告 | あり(435条2項) | あり(438条1項) | 取締役会設置会社のみ(437条) | 総会の1週間前の日※から5年間(442条1項) |
| 計算書類の附属明細書 | あり(435条2項) | なし | なし | 総会の1週間前の日※から5年間(442条1項) |
| 事業報告の附属明細書 | あり(435条2項) | なし | なし | 総会の1週間前の日※から5年間(442条1項) |
※取締役会設置会社は総会の2週間前の日から。書面決議の場合は提案があった日から。
見落とされがちなのは次の3点です。
- 計算書類は4点セットです。貸借対照表と損益計算書だけでなく、株主資本等変動計算書と個別注記表も作成義務のある計算書類です(会社計算規則59条1項)。
- 附属明細書も作成義務があります。「作ったことがない」という会社も実際には少なくないのですが、会社法435条2項が作成を義務付けている書類です。総会に出す書類ではなく、本店に備え置いて株主・債権者の閲覧に備える書類という位置づけです(会社法442条1項1号)。
- 備置きの開始日にも注意してください。計算書類・事業報告・これらの附属明細書は、総会の日の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)の日から本店に備え置く必要があります(会社法442条1項1号)。総会当日までに書類が完成していればよいわけではない、ということです。この関係で、計算書類等を承認する取締役決定・取締役会から総会当日までは、1週間(取締役会設置会社は2週間)以上の間隔を空けてスケジュールを組む必要があります。
なお、招集通知に計算書類・事業報告を添付する義務があるのは取締役会設置会社だけです(会社法437条)。取締役会非設置会社では添付は必須ではなく、総会に提出すれば足ります。もっとも、これは義務の話で、実務では取締役会非設置会社でも計算書類・事業報告を招集通知に添付して送るのが通常です。株主が事前に内容を確認できた方が総会もスムーズですし、投資契約上の情報提供義務(後述)への対応にもなるためです。
事業報告には何を書くか
要点: 非公開会社の法定記載事項は、実は「株式会社の状況に関する重要な事項」(会社法施行規則118条1号)だけです。ただし実務では、株主である投資家への情報提供も兼ねて、もう少し充実した記載にする例が多いです。
事業報告の記載事項について検索すると、役員報酬や社外役員の状況など細かい項目がたくさん出てきますが、それらの大部分は公開会社(株式の全部又は一部に譲渡制限のない会社、会社法2条5号)向けの規律です(会社法施行規則119条〜124条)。スタートアップは通常、全株式に譲渡制限のある非公開会社なので、法定の記載事項は施行規則118条、実質的にはその1号の「株式会社の状況に関する重要な事項」だけということになります。
とはいえ、「何か重要なことを書け」と言われても困ると思うので、事業報告のひな型(Word)を、この記事の下でダウンロードできるようにしています。任意項目には注記を付けているので、自社のステージに合わせて削って使ってください。
事業報告の附属明細書には何を書くか
要点: 「事業報告の内容を補足する重要な事項」を書く書類ですが(会社法施行規則128条1項)、補足すべき事項がなければ「該当事項はありません。」で足ります。それでも作成義務自体はなくならない、という点がポイントです。
事業報告の附属明細書は、おそらく定時総会の書類の中で一番「何を書けばいいのか分からない」と言われる書類ですが、非公開会社の場合には、法律上記載が義務付けられているのは「事業報告の内容を補足する重要な事項」(会社法施行規則128条1項)だけです。補足すべき重要な事項がなければ、内容は「該当事項はありません。」で問題ありません。
よく登場する「役員の兼職状況の明細」は、法律上は公開会社にのみ義務付けられる記載です(会社法施行規則128条2項)。ただ、実務では非公開会社でも記載する例が多く、役員が他社の役員を兼ねていることが多いスタートアップでは、株主への情報提供として記載しておく価値のある項目だと思います。
実務の標準形は、次の3項目構成です。
- 会社役員の他の会社の業務執行取締役等との兼職状況の明細(表形式)
- 親会社等との間の取引に関する事項(通常は「該当事項はありません。」)
- その他事業報告の内容を補足する重要な事項(通常は「該当事項はありません。」)
こちらも事業報告の附属明細書のひな型(Word)を下で公開しています。
ひな型のダウンロード
事業報告・事業報告の附属明細書のひな型(Word形式)は、以下からダウンロードできます。いずれも非上場のスタートアップ(取締役会設置・非設置の両方)を想定したものです。
本ひな型はプロコミットパートナーズ法律事務所が作成したものです。転載は自由ですが、必ず当事務所が作成したものであることと、https://pcpl.jp/ のURLを明記していただくようお願いいたします。
実務でよくつまずくポイント
要点: 毎年ご相談の多い論点をまとめました。役員の重任と任期の数え方、招集通知・委任状のメール対応、基準日後に増資した場合の議決権、決算公告、投資契約との関係です。
役員を重任するときの就任承諾書は省略できる
任期満了に伴う重任の場合、被選任者が総会に出席し、席上で就任を承諾してその旨が議事録に記載されていれば、登記の際に就任承諾書の添付を省略できます(議事録の記載を援用)。重任なら本人確認書類も不要です。新任の役員や欠席した役員、書面決議による場合はこの方法が使えないので、就任承諾書を別途取得してください。
なお、取締役の任期が満了すると代表取締役としての地位も終了するので、重任の場合は、総会後に代表取締役の選定(取締役会設置会社は取締役会決議、非設置会社は定款の定めに応じて互選等)も忘れずに行ってください。
役員の任期は「定時総会のタイミング」で切れる
役員の任期は、「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」といった形で定められているのが通常です(会社法332条参照)。つまり、選任から丸4年で切れるのではなく、定時総会のタイミングで切れます。このため、例えば任期4年の会社でも、事業年度の後半に選任された役員は、3年ちょっとしか経っていないのに再任(重任)が必要になることがあります。
さらに、大半の会社では、定款に「増員又は補欠により選任された取締役の任期は、他の取締役の任期の残存期間と同一とする」といった、途中から入った役員の任期を既存の取締役に合わせる定めがあります。この場合、後から選任された役員の任期はさらに短くなります。「あの役員は去年選任したばかりだから今年は関係ない」という思い込みがいちばん危ないので、定時総会のたびに、定款の任期規定とあわせて全役員の任期を確認するようにしてください。
招集通知や委任状はメールでもよいか
スタートアップの皆様からよくいただく質問です。会社の機関設計によって扱いが異なります。
- 取締役会非設置会社: 招集通知の方法に法律上の制限はなく、書面である必要はありません(会社法299条2項参照)。メール等で送っても適法です。
- 取締役会設置会社: 招集通知は書面で行うのが原則です(会社法299条2項2号)。メール等の電磁的方法によるには、あらかじめ株主の承諾を得る必要があります(同条3項)。実務では、株主からメール送付の承諾を取得したうえでメール運用にしている例が多いです。
委任状(議決権の代理行使)については、代理権を証明する書面を会社に提出するのが原則ですが(会社法310条1項)、会社の承諾があれば、記載事項をPDF等の電磁的方法により提供してもらうことも可能です(同条3項)。実務でも、委任状をPDFでメール回収する運用は広く行われています。原本も後日回収して保管しておくと、より安心です。
決算公告は「義務だが実施率は低い」のが実態
定時総会の終結後、遅滞なく貸借対照表を公告することは法律上の義務です(会社法440条1項)。もっとも、東京商工リサーチの「2022年『官報』決算公告調査」によれば、官報を公告方法とする株式会社のうち、実際に官報で決算公告を行った会社はわずか1.8%にとどまるとされており、実施していない会社が大半というのが実態です。法律上の義務であることは踏まえつつ、公告方法(官報・電子公告等)や費用も含めて、自社の対応方針を検討しておきましょう。
基準日の後に増資した場合、新しい株主は議決権を行使できない
定時総会の直前に資金調達をした場合に出てくる論点です。定款で事業年度末日を議決権の基準日と定めている場合、基準日より後に増資で株主になった投資家は、その定時総会では議決権を行使できません(会社法124条1項、招集通知の送付も不要です)。逆に、新しい株主にも議決権を行使してもらいたい場合には、基準日後に株式を取得した株主に議決権行使を認めることも可能です(会社法124条4項。既存の基準日株主の権利を害しない範囲に限られます)。
投資契約・株主間契約との関係も忘れずに
VCから調達している会社は、投資契約・株主間契約で計算書類や事業報告の送付義務(情報提供義務)を負っていることがほとんどです。上記のとおり、事業報告の附属明細書及び計算書類の附属明細書は、会社法上は株主への提供義務はないのですが、投資契約や株主間契約ではこれらも提出するよう定められていることが多いです。また、事業計画や税務申告書など、定時総会と同時期に作成される他の書類の提出義務が定められている場合も多いです。定時総会の書類一式は、この契約上の義務への対応も兼ねて準備すると効率的です。また、契約によっては総会議案が事前承諾事項・通知事項に該当することもあるので、招集の前に投資契約のチェックも済ませておくと安心です。
主要用語まとめ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 定時株主総会 | 毎事業年度の終了後一定の時期に招集される株主総会(会社法296条1項) |
| 計算書類 | 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表の4点(会社計算規則59条1項) |
| 事業報告 | 会社の状況に関する重要な事項を記載する報告書類。総会では報告事項(会社法438条3項) |
| 附属明細書 | 計算書類・事業報告の内容を補足する書類。総会には提出せず本店備置きで開示(会社法442条) |
| 書面決議(みなし決議) | 株主全員の書面同意により、総会を開催せずに決議があったものとみなす制度(会社法319条) |
| 基準日 | 議決権等を行使できる株主を確定するための日(会社法124条)。基準日から3か月以内に権利行使が必要 |
| 定期同額給与 | 役員給与を損金算入するための原則的な支給形態(法人税法34条1項1号)。改定は原則事業年度開始から3か月以内 |
まとめ〜定時総会のチェックリスト
- ☐ 定款の確認(基準日・招集期間・議長・機関設計)
- ☐ 計算書類4点セット+事業報告+これらの附属明細書を作成した
- ☐ (監査役設置会社)監査役の監査を経た(日程が厳しい場合は監査期間の短縮合意)
- ☐ (取締役会設置会社)取締役会で計算書類等の承認と総会招集の決定をした
- ☐ 議案に応じて種類株主総会の要否を確認した(会社法・定款の両方)
- ☐ 招集通知を期限までに発送した(中7日・土日祝に注意)/または書面決議・招集手続省略の全員同意を取得した
- ☐ 開催場所・日時が前回と著しく離れる場合は、招集決定時にその理由を記載した(会社法施行規則63条2号)
- ☐ 計算書類等の本店備置きを開始した(総会の1週間前・取締役会設置会社は2週間前の日から)
- ☐ 役員の任期を確認し、必要な選任議案・報酬議案を入れた
- ☐ (重任の場合)総会後の代表取締役の選定を行った
- ☐ 投資契約・株主間契約の情報提供義務・事前承諾事項を確認した
- ☐ 決算公告を行った(会社法440条1項)
- ☐ (重任等があれば)総会後2週間以内に変更登記を申請した
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FAQ
Q1. 事業報告は毎年ほとんど内容が変わらないのですが、使い回しでよいですか?
A. 構成の使い回し自体は問題ありませんが、対象事業年度・数値・役員・株式に関する事項などは毎年更新が必要です。また、資金調達や重要な提携など、その年にあった重要なトピックは「事業の経過及びその成果」に反映してください。前年のコピーのまま数値だけ古い、というのが実務で一番よくあるミスです。
Q2. 附属明細書は本当に作らないといけないのですか?
A. 作成義務があります(会社法435条2項)。補足すべき重要な事項がない場合でも、「該当事項はありません。」と記載した附属明細書を作成しておくのが実務です。総会に提出する書類ではないため作成漏れに気づきにくいのですが、株主や債権者から閲覧請求があった場合に備えて整えておくべき書類です。
Q3. 株主が少ないので総会を開かずに済ませたいのですが、可能ですか?
A. 可能です。株主全員の書面同意による書面決議(会社法319条)と、報告事項についての書面報告(会社法320条)を使えば、実開催なしで定時総会を完結できます。事前の備置き期間の縛りもなくなるため、スケジュール面のメリットも大きい方法です。ただし全員の同意書の回収が成立要件なので、1名でも漏れると決議が成立しない点には注意してください。
本記事の引用について
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プロコミットパートナーズ法律事務所「スタートアップのための定時株主総会ガイド(事業報告・附属明細書のひな型付き)」(監修:長尾卓弁護士、2026年8月公開)
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